
福井県では、冬になると雪や凍結への備えが欠かせません。
家庭ではスタッドレスタイヤへの交換や暖房器具の準備などが一般的ですが、工場や事業所では、それだけでは十分ではありません。大雪によって道路が通行できなくなれば従業員が出勤できず、物流が止まれば原材料や商品が届かなくなる可能性があります。また、停電や設備の凍結が発生すれば、工場の生産ラインや事務所の業務システムが停止することもあります。
特に福井県では、短時間に大量の雪が降ることもあり、「昨日までは通常どおりだったのに、一晩で状況が大きく変わる」ことも珍しくありません。
だからこそ、雪が降ってから対応を考えるのではなく、本格的な冬を迎える前に設備や連絡体制、備蓄などを見直しておくことが重要です。
今回は、福井県の冬の特徴を踏まえながら、工場・事業所で確認しておきたい防災対策について解説します。
福井県の冬の防災を考えるうえで重要なのは、「雪そのものによる被害」だけを考えないことです。
積雪によって道路が狭くなったり、車両が立ち往生したりすると、人や物の移動ができなくなります。さらに電線への着雪や倒木などによって停電が発生すれば、設備や通信にも影響します。
工場では、生産設備が停止するだけでなく、コンプレッサー、空調、給排水設備、サーバーなどが停止する可能性があります。
事務所でも、パソコン、電話、インターネット、暖房が使用できなければ通常業務を続けることは難しくなります。
つまり冬の防災では、「建物を雪から守る」だけではなく、「人・設備・電気・燃料・物流をどう維持するか」という視点が必要です。
福井県の冬季防災を考えるうえで忘れてはならないのが、平成30年2月の豪雪です。
この豪雪では、福井市で積雪が130センチを超え、国道8号では最大約1,500台の車両が立ち往生しました。交通網が長時間にわたって混乱し、企業活動や物流、地域の生活にも大きな影響が生じました。
ここから企業が学ぶべきことは、「自社の建物が無事なら営業できる」というわけではないということです。
工場そのものに被害がなくても、従業員が出勤できない、原材料が届かない、商品を出荷できない、燃料を補給できない、取引先へ訪問できないといった状況になれば、事業は止まります。
特に福井県では自動車通勤の従業員も多いため、大雪時の出勤判断や帰宅判断を事前に決めておくことが重要です。
非常用発電機やポータブル電源、UPS(無停電電源装置)などを導入している企業も増えています。
しかし重要なのは、「実際に必要なときに使える状態になっているか」です。
発電機を長期間動かしていない、燃料が不足している、接続方法が分からない、操作できる担当者が不在といった状態では、設備があっても役に立ちません。
冬前には一度、始動確認や燃料量、接続設備、運転可能時間などを確認しておきましょう。
停電した際に、すべての設備を通常どおり動かせるとは限りません。
生産設備、冷蔵設備、サーバー、通信設備、照明、暖房など、自社にとって優先すべき設備を整理しておきます。
「停電したら何を止め、何を残すのか」を平常時に決めておけば、緊急時の判断が早くなります。
気温が低下すると、水道管や給水設備が凍結することがあります。
特に屋外や北側、風が当たりやすい場所にある配管は注意が必要です。凍結によって配管が破損すれば、解凍後に漏水することもあります。
保温材の劣化や剥がれがないか、ヒーターなどの凍結防止設備が正常に動くかを冬前に確認しておきましょう。
灯油や重油などを使用する工場・事業所では、タンクや配管の点検も欠かせません。
積雪や除雪作業によって配管を傷つけたり、屋外設備が長期間雪や融雪水にさらされることで腐食が進んだりする可能性があります。
法定点検だけではなく、雪が降る前と雪解け後にも設備の状態を確認することが重要です。
企業防災では、設備と同じくらい「人の移動」を考える必要があります。
大雪の予報が出ているにもかかわらず通常どおり出勤を求めれば、通勤途中で従業員が立ち往生する可能性があります。
あらかじめ、
・どの段階で出勤を見合わせるか
・在宅勤務へ切り替えるか
・早期帰宅を判断する基準
・誰が判断するか
などを決めておくと、緊急時の混乱を減らせます。
また、物流についても同様です。
原材料を毎日納品している場合、大雪で数日物流が止まれば生産できなくなる可能性があります。
重要な資材や燃料については、冬季に必要となる量を把握し、一定の余裕を持って確保しておくことも事業継続対策の一つです。
道路状況が急激に悪化すれば、従業員を帰宅させる方が危険な場合もあります。
そのため、工場や事業所には一定時間待機できる備えも必要です。
飲料水、非常食、簡易トイレ、毛布、カイロ、懐中電灯、モバイルバッテリーなどを準備しておきましょう。
特に冬は、夏の防災用品に加えて「寒さへの備え」が必要です。
備蓄品についても、一度購入したままではなく、数量や使用期限を冬前に確認することをおすすめします。
冬は暖房器具を使用する機会が増え、火災への注意も必要な季節です。
工場や事業所では、消火器、自動火災報知設備、誘導灯、屋内消火栓設備などが正常な状態になっているか確認しておきましょう。
また、設備そのものだけでなく、その周辺環境も重要です。
消火器の前に物が置かれていないか、避難経路が荷物や雪で塞がれていないか、非常口周辺を除雪する担当が決まっているかなど、実際に災害が発生した場面を想定して確認します。
法定点検を実施していても、日々のレイアウト変更や積雪によって「いざというときに使えない状態」になっている可能性があります。
冬季の災害では、燃料確保も重要です。
非常用発電機があっても、燃料がなければ長時間運転することはできません。また、暖房やボイラーに灯油・重油を使用している施設では、燃料供給が止まれば事業や施設運営そのものに影響します。
さらに、大雪時には道路状況や交通規制、気象情報などを早く把握することが重要です。
「通常どおり営業するか」「従業員を帰宅させるか」「配送を止めるか」といった判断は、情報がなければできません。
冬の防災では、モノを備えるだけでなく、燃料の供給体制と情報収集の仕組みまで含めて考える必要があります。
藤井防災エネルギーは、文政年間の創業以来、福井の地域でエネルギー供給と防災に携わってきました。
現在ではガソリンや灯油などの石油製品の供給・配送だけでなく、消防設備の法定点検、メンテナンス、新設・改修工事、危険物設備のメンテナンス、防災用品・防災資機材の提案など、企業防災を幅広くサポートしています。
また、大規模災害時にも地域のライフラインを支えられるよう、発電設備や給水設備を備えた災害対応型給油所の整備にも取り組んでいます。
平成30年豪雪では、交通網が大きく混乱し、灯油やガソリンなどの生活物資不足も発生しました。
こうした経験がある福井だからこそ、平常時から「もし物流が止まったら」「停電したら」「従業員が出勤できなくなったら」と具体的に考えておくことが重要です。
藤井防災エネルギーでは、エネルギーと防災の両方に携わってきた経験を活かし、工場や事業所の状況に合わせた防災対策をサポートしています。
福井県の企業にとって、大雪や凍結は毎年想定しておくべき身近な災害リスクです。
そして冬の防災は、「除雪を準備する」「スタッドレスタイヤに交換する」だけでは十分ではありません。
停電への備え、非常用発電機と燃料、屋外設備や配管の凍結対策、消防設備、従業員の通勤判断、物流停止への備え、帰宅困難時の備蓄など、企業活動全体を見ながら準備する必要があります。
重要なのは、大雪になってから考えるのではなく、まだ雪が降っていない時期に確認しておくことです。
本格的な冬を迎える前に、一度工場や事業所を歩きながら、「雪が1メートル積もったらどうなるか」「停電が半日続いたらどうするか」「道路が通れなくなったら何が止まるか」を想像してみてください。
そこで見つかった小さな課題を一つずつ改善することが、冬の災害時にも事業を継続し、従業員や地域を守ることにつながります。